札幌ススキノの頭部切断事件からみる、日本の現状
札幌ススキノの頭部切断事件。瑠奈被告の死体への異常な執着はさすがに予想を超えていたが、親と子の力関係が逆転し、子供の違法行為すら増長させるパターンは、漫画『「子供を殺してください」という親たち』でも繰り返し描いてきた。
<ススキノ首切断>『おじさんの頭持ってきた。カメラマンするでしょ? 私の作品見て』弁護側が明らかにした“いびつな家族関係と猟奇的犯行”「娘と一緒に暮らせなくなる日がすぐそこまで来ている」裁判詳報(FNNプライムオンライン 20,24/06/06)
精 ...
京都アニメーションスタジオの放火事件に寄せて
京都アニメーションスタジオの放火事件について、詳細が報道されるにつれ、なんと凄惨な事件かと、哀しみと憤りにかられている。多くの優秀なクリエイターが犠牲になったと聞く。亡くなった方々のご冥福を心からお祈り申上げ、また、被害に遭われた方々が一日も早く快復されるようにと祈るばかりである。
被疑者の男は意識不明の重体で治療中ということもあり、動機はいまだ判然としない。警察官に確保されたとき、「小説を盗まれた」と話したそうだ。被疑者と京都アニメーションに関係性は見つかっていないため、一方 ...
親子間のDVを甘く見るのはもうやめよう
千葉県野田市の小学4年の女児(10)が1月24日、自宅で亡くなり、父親(41)が傷害容疑で逮捕された。学校や行政が虐待の可能性を把握していながら、助けられなかった。「親子」「家族」への認識を変えていかない限り、同じような事件は続くだろう。 まずは各社の報道から、事件に至るまでの経緯を時系列でまとめる。
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2017年7月、一家が当時住んでいた沖縄県糸満市の窓口に、女児の母親の親族から「母親へのDVと女児へのどう喝がある」と相談があった。 ...
新年早々、原宿竹下通りの車暴走事件
元旦未明、原宿の竹下通りで軽乗用車が暴走し、8人が重軽傷を負った。新年早々、俺はかなりの衝撃を受けた。
続報によると、容疑者(21歳)が借りたレンタカーの車内からポリタンクに入った灯油や高圧洗浄機が見つかり、「車ごと燃やそうと思った」と話しているという(高圧洗浄機で灯油噴射 原宿暴走逮捕の男計画か)。早い段階で逮捕されたことは、不幸中の幸いだった。
当初、容疑者は「オウム真理教の死刑執行に対する報復」などと供述し、メディアも「テロ云々」と報道していた。しかし、それに ...
年の瀬に思うこと
今年1月、徳島県小松島市で、強迫性障害と診断されて自宅にひきこもっていた娘(39)に頼まれ、母親(67)が首を絞めて殺すという事件があった。母親は犯行後に自殺を図ったが一命を取り留め、殺人容疑で逮捕。鑑定留置を経て嘱託殺人罪で起訴された。
9月末、徳島地裁は「精神的、肉体的に疲弊し、著しく追い詰められた状態だった」として、母親に懲役2年6月、執行猶予4年の判決を言い渡している。
その事件に関する記事が、徳島新聞に掲載されていた。
障害ある娘 懸命にケア ...
社会的支援とは!?
同居する妻(64)に頼まれて刺殺したとして嘱託殺人罪に問われた夫(60)に対して、懲役3年、執行猶予5年の判決が言い渡された。夫婦はともに統合失調症で、精神障害者の集会で出会って結婚し、その後も入退院を繰り返す生活を送っていたという。判決に関する記事を、以下に引用する。
「自殺する前に私を」妻に頼まれ刺殺 嘱託殺人の男有罪 執行猶予5年、精神障害を考慮 青森地裁八戸支部判決
同居する妻(64)に頼まれて刺殺したとして、嘱託殺人罪に問われた青森県八戸市新井田、無職馬場 ...
Jacksonville shooter had history of mental illness and police visits to family home
米南部フロリダ州で8月26日、ビデオゲーム大会中に銃乱射事件が起きた。興味深い続報(海外ニュース)があったので紹介する。2人が死亡、10人が負傷した事件で、犯人の男(24歳)も犯行後に銃で自殺した。続報によると、男には精神疾患の病歴があり、過去には、警察官が自宅訪問をしたこともあったという。
(以下引用:CNN 2018年8月28日)
Jacksonville shooter had history of mental illness an ...
女性のアルコール依存症
元アイドルの女性が、飲酒運転とひき逃げで逮捕された。この女性がアルコール依存症かどうかは専門医が診断することだが、報道によると、前日は収録で夜遅くに帰宅し、翌日は朝7時から仕事が入っているにも関わらず、朝までお酒が残るような飲み方をしている。アルコールに関して何らかの問題を抱えていたことは事実だろう。
振り返ってみると、俺への相談や移送依頼では、「アルコール依存症の女性(娘や妻)」というのは、とても少ない。だからといって、女性のアルコール依存症について ...
鹿児島県日置市 5人殺害事件~地域移行にどう関わるか
鹿児島県日置市で、近隣住民を含む5人が殺害される事件が起きた。
現時点での報道によれば、容疑者は無職であることなど生活態度を祖母に注意され、不満をもち殺害、それをとがめた父親や、様子を見に来た親族、同じアパートの住民を次々に殺害したという。
祖母殺害、気づいた父も 鹿児島5人殺害、容疑者供述
鹿児島県日置(ひおき)市東市来(いちき)町湯田の民家で男女5人が殺害された事件で、近くの無職岩倉知広容疑者(38)=殺人容疑で逮捕=が、祖母の岩倉久子さん(89)を ...
兵庫県三田市の監禁事件~無法地帯(逆戻りする社会)
兵庫県三田市の監禁事件だが、俺がもっとも憤りを覚えたのは、行政(市)がこの事案を把握してから通報までに1ヶ月もかかっていることだ。本来であれば、福祉相談員が父親から「息子を閉じ込めている」と聞いた時点で110番通報し、その日のうちに保健所職員が自宅訪問、長男(男性)を保護していなければおかしい。
刑事訴訟法第239条第2項においても、通報義務がある(通説)ことは明確だ。
(刑事訴訟法第239条)
何人でも、犯罪があると思料するときは、告発 ...家庭の中の欲求
20歳の男子大学生が父親を刺殺するという事件が起きた。
父親をナイフで刺した慶応大生「感情的になって刺した」
今年に入ってから今日までに俺がツイッターに挙げた親族間事件のうち、子供が親を殺害した事件は13件(うち3件は未遂)あった。そのうち加害者が20代なのは7件、10代が1件。いくらなんでも多すぎないか。
「胸ぐらつかまれたので…」義理の父をナイフで刺す、殺人未遂容疑で21歳息子を逮捕大阪
「母を刺し殺した」 交番に出 ...
あっ、俺も声をあげときます。
精神医療で治安維持「筋違い」 精神保健福祉法改正案に反対集会
津久井やまゆり園(相模原市緑区)の殺傷事件を受け、政府が今国会に提出した「精神保健福祉法改正案」を巡り、同法案に反対する大学教授や支援団体が24日、参院議員会館で集会を開いた。精神医療を治安維持の道具に使うのは筋違いと指摘、「精神障害がある人々に対する政府のヘイトクライム(憎悪犯罪)だ」などと訴えた。
改正案は、措置入院患者の退院後支援計画を作成するなど、自治体や警察などによる継続的な関与を定めている。現 ...
尊い命が奪われたあげく、司法機関に丸投げされる…これが日本の現実だ!
小5殺害、中村桜洲被告に懲役25年求刑 和歌山地検「厳しく非難できる」
和歌山県紀の川市で平成27年2月、市立名手小5年、森田都史君=当時(11)=が刺殺された事件で、殺人などの罪に問われた中村桜洲被告(24)に対する裁判員裁判の論告求刑公判が21日、和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)で開かれた。検察側は懲役25年を求刑し、結審した。判決は28日に言い渡される。
中村被告は、事件当時に心神耗弱状態だったとされており、量刑が最大の争点。公判では、 ...
アルコール依存症の真実とは!
ツイッターにも書いたのだが、昨日、読んだ記事。
「ちょっと、一杯」の裏に隠れたアルコールのリスクとは?
要約すると、
・アルコールの最大のリスクは、なにかからの逃げ道として依存してしまい、自殺の主要因になること
・社会がアルコール依存症への見方を変え、(本人や家族が)弱さを語れることが早期介入につながる
といったことが書かれている。
これにつ ...
誤解を恐れている場合ではない!専門家やメディアが言えない本質を、押川が斬る!
「警察に捕まろうと」面識ない人を金属パイプで撲殺容疑
神奈川県警は、同県大磯町高麗1丁目の会社員、後藤優容疑者(32)を殺人の疑いで緊急逮捕し、14日発表した。後藤容疑者は調べに対し、「人を殺して捕まろうと思った」と容疑を認めているという。
県警によると、後藤容疑者は13日午後、大磯町国府本郷の県立大磯城山公園内の公衆トイレから出てきた同町生沢の無職吉川友義さん(44)の頭や背中などを金属パイプで殴り、殺害した疑いがある。県警は、後藤容疑者 ...
日本はもはや、「命」もすべて、「自己責任」! 相模原障害者施設殺傷事件8
先日、教育関係者と話をする機会があったのだが、昨今は義務教育の過程においても、「本人の意思」が最大限に尊重されつつあるらしい。たとえば子供のやることに対して、大人(教師)が、これまでの経験から「それでは上手くいかない」「あとで後悔する」と分かることがあっても、子供自身やその親が決めたことであれば、よけいな口は挟まない、という。
その結果、子供が暴走して大きな失敗をしようが、後悔をしようが、「自己責任」ということで片付けられてしまうわけだが、これは精神保健分野と同様であり、もはや ...
地域移行の真実 相模原障害者施設殺傷事件7
相模原障害者施設殺傷事件が起きてから、一ヶ月が経とうとしている。
この間、識者や専門家、精神保健に関連する団体などがさまざまな見解を述べているが、多くは、「このような問題は司法(犯罪など)として捉え、医療としての対応を求めるべきではない」というものであり、「今後も、脱施設化・地域移行の歩みを止めてはならない」というものである。
まず、司法と医療のグレーゾーンについては、「『子供を殺してください』という親たち」でも記述したように、日本では長らく、 ...
植松容疑者と同じじゃねーか!!
(以下引用:産経新聞8月15日)
「将来を悲観し…」49歳息子を刺殺容疑 72歳母逮捕 大阪府警羽曳野署
大阪府羽曳野市の民家で15日未明、住人の男性が刃物でのどを刺されて死亡した事件で、大阪府警羽曳野署は15日、殺人容疑で男性の母親で不動産賃貸業、若本敏美容疑者(72)=同市高鷲=を逮捕した。「(息子に)精神疾患があり、将来を悲観した」と容疑を認めているという。
逮捕容疑は15日午前2時ごろ、自宅1階の洋間で寝ていた息子の無職、佳秀さん(49)ののどを ...
逃げるな!トボけるな!保健所!! 相模原障害者施設殺傷事件6
相模原の事件をきっかけにつくづく感じたことだが、世間一般の方々には、精神保健に関する主管行政が、保健所(あるいは精神保健福祉センター)であること自体、理解されておらず、その詳しい役割については、なおさらである。
たとえば警察であれば、「市民の命を守る」「地域の安全を守る」など、誰もが知っている、明確な役割・使命がある。だからこそ我々は、身の危険を感じるような出来事があったら、すぐに警察に通報や相談をする。
そして警察が事件や事故を防げなかったときには、理由の如何に関 ...
「現場脳」押川が、法律からみる重大過失者は、こいつらだ!! 相模原障害者施設殺傷事件5
相模原の事件を正しく検証し、このような凄惨な事件が、再び起きないようにするためにどうすればよいのか。考えるべき事は、実は、たくさんある。
その一つ、植松容疑者の大麻、危険ドラッグの乱用については、すでにさまざまな報道がなされている。措置入院の際の尿検査で、大麻の陽性反応も出ている。違法薬物の乱用については、刑法に抵触する行為である一方、治療すべき対象であり、医療の側面も持っている。この二つの面をどう捉えるかによって、以下に取り上げる法律等の解釈、対応も、大きく変わってくる。