2013年、最上級の出会い

今年もよい出会いがたくさんあったが、

そのなかでも最上級といえるのが、小林由美さんと会えたことだ。

 

小林さんはシリコンバレーで暮らす日本人女性だ。

今年の8月、俺は、とある仕事の一環でサンノゼ(シリコンバレー)を訪れ、

その際に、縁あって、一緒に食事をさせてもらった。

 

小林さんは著書もあるので、経歴を引用させてもらって紹介する。

東京大学経済学部を卒業したのち、日本長期信用銀行に女性初のエコノミストとして入社。

長銀を退職し、スタンフォード大学でMBA取得。

1982年、ウォール街で日本人初の証券アナリストとして、

機関投資家向け調査でNo.1だったペインウェバー・ミッチェルハッチンスに入社。

85年、サンフランシスコで経営コンサルティング会社JSAに参加後、

セコイア・キャピタルをはじめVCの投資先として、

半導体、コンピュータ、ソフトウェア関連企業やM&A、不動産開発などの業務を行い、

現在にいたる。

 

まあ、とにかく華麗なる経歴を持つひとなのである。

 

聞けば、長銀を辞めてアメリカに渡ったときの所持金はたったの200万円で、

スタンフォード大学に入った時点で、すっからかんになったそうだ。

30年以上も昔、アメリカに女の身一つで、しかもさしたる金も持たずに

乗り込んでいったんだから、それだけでも頭が下がる思いである。

 

だが俺がいたく感心し、また感動したのは、

小林さんの凛とした佇まいであった。

 

僭越な言い方ではあるが、とにかく頭がいい。

言葉は端的で、本質の、それも建設的な話しかしない。

 

「本当のこと」をズバズバと言うひとではあるが、

勝負をかけて生きてきたひとらしく、相手にへんな気遣いや

神経の使い方をさせない、そんなスマートさも身につけていて

非常に、「かっこいいな」と思わされた。

(見た感じも、背が高くスラッとしていて、とてもかっこいいのである!)

 

俺が自己紹介を兼ねて、自分の仕事の話をすると、

小林さんは、一言、こう言った。

「押川くん、あなたは何と闘っているんだ?」

 

俺は、「デタラメな親もそうだし、行政や厚労省とも闘っています」と答えた。

すると小林さんは、「そうか、よし!」と言ってくれた。

俺は小学校の先生に褒められたときみたいに、

ちょっと嬉しくなってしまったよ(笑)

 

小林さんとの会話のなかで俺は、

「カルチャー=DNAである」ということと、

「宇宙的視点で物事を考える」ということを学んだ。

この二つは、非常に大切なテーマとして、俺のこころに残った。

 

俺がサンノゼを訪れたのは、大学のときの唐木ゼミの後輩で、

今はシリコンバレーで生活している奴が、ある仕事の話を持ってきたからだった。

そいつが紹介してくれたのが、「シリコンバレーにこの日本人あり」と言われる、

IMANET, Inc President CEO 八木 博さんという人だった(http://www.imanetinc.com/)。

この八木さんってのがまた、頭の切れる器のでかい人なんだけど、

その八木さんが、小林さんとの食事をセッティングしてくれたのである。

 

向こうに行く前に俺は、小林さんの著書「超・格差社会 アメリカの真実」を読んだのだが、

線を引いたり書き込みをしたりで、すでにぼろぼろになってしまったその本に、

小林さんは快くサインをしてくれた。

俺の最上級の宝物になった。

超・格差社会アメリカの真実 (文春文庫)  小林さん

 

この出会いのおかげで、今年後半の俺は、今まで以上に面白く生きられた。

どんなときに、どんなふうにご縁がつながっていくか、

わからないものだと、つくづく思う。

 

来年もひととの出会いを大事にしたい。

 

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Posted by 押川剛