結婚詐欺③
詐欺をする側、される側、それぞれから聞いた話を書いた。
では、こういった詐欺に遭わないために、
どうすればいいのだろうか?
これは、そのひとの生き方そのものを、
問われるところではないかと、俺は思う。
たとえば、俺のところに相談にくるのは、
家族のなかでも圧倒的に母親が多いわけであるが、
なかには、仕事をもち、バリバリ働いている母親もいる。
彼女たちがもってくる相談というのは、
仕事に夢中になりすぎて家庭をかえりみなかった結果、
気づいたときには、子供が心の病気になっていたケースや、
犯罪を犯していることに気づかなかった…というケースである。
子供が手の着けられない状態になっているのだが、
夫はアテにならない(あるいはすでに離婚している)ために、
母親自身の仕事やキャリアにも影響が出てきている。
そういう母親は、相談の最中に、
「子供なんか産まなければよかった」と嘆く。
「産むつもりはなかったけど、出来ちゃったから」と言う親もいる。
「子供なんか…」という言い分に同調するつもりはないが、
たしかに俺からみても、こういう母親たちは、
家事育児よりも働くほうが向いているな…と思わせるものをもっている。
仕事の話になると、正しいことを理路整然と語り、
上司や部下にも臆せずものを言ったりして、金も稼いでいる。
その一方で、自分の子供に対しては何も言えずに、
小さくなっているからだ。
このタイプの母親は、それこそ昨日のB子さんの話ではないが、
子供が好きで、欲しくて産んだというよりは、
「女性に生まれたからには子供を産むべき」という固定観念や、
夫や、夫の親族の手前、子孫を残さなければという世間体、
あるいは出来ちゃったから…と、
そういうものに縛られて、子供を産んだように見える。
働いている母親やシングルマザーが、
みんなそうだと言いたいわけではない。
忙しくとも、子供に愛情を伝え、しっかり向き合ってきた家庭では、
一時的に問題が起きることはあっても、必ず解決できる。
でもそうじゃない、いくところまでいってしまった家族(子供)というのは、
やはり、本能的な愛情の部分が欠落している。
何千件という家族を見てきた俺は、そう感じる。
こんなことを書くと、非難を浴びるかもしれないが、
ひとには向き不向きがあると、俺は思う。
家庭におさまりきらないひと、子育てに向いていないひとも、
世の中にはいるのである。
それは女性に限ったことではなく、男性も同じだ。
(専業主夫という言葉があるくらいだからな)
人間として生まれてきたからといって、
誰もが自動的にマトモな親になれるとは限らないのだ。
そもそも、女性だから結婚しなければならないとか、
子供を産まなければならないという縛り自体、
男女平等のこの時代には、まったくそぐわない。
だけどその一方で、自治体ぐるみで「婚活」などと騒ぎたて、
結婚をあおるようなサービスやCM、テレビ番組も、本当に多い。
「自分はどう生きるべきか」「自分の使命とは何か」
そういうことに真剣に向き合わずに生きていると、
簡単に世間体や周囲の声に惑わされてしまいかねないし、
B子さんのように、詐欺師にひっかかることすらある。
「そんなこと言われても、何がなんでも結婚したい!」
と思うひともいるかもしれない。それならばいっそ、
自分の地元で、相手を探したほうがいいんじゃない、と俺は言いたい。
なんでかと言うと、詐欺男Aが、
警察に捕まった理由の一つとして、こんなことを言っていたのだ。
「相手の女性の家族に会ったときに、父親に『コイツ、なんかおかしいぞ』と思われて、
そこから足がつきました」
それだったら、同じ地元で生まれ育ち、
お互いを家族ぐるみでよく知っているようなひとや、
同じ文化、風習のなかで育ったひと(カルチャー=DNAだからな!)、
そういうひとと家庭をもったほうが、よっぽど安心感がある。
だけど悲しいかな、
地元を捨てて、都会に出てきたような上昇志向の強い女性や、
地元の親兄弟とは折り合いが悪くて、疎遠になっている…
そういう女性のほうが、詐欺師のターゲットになりやすいのも事実なんだよな。
しつこいようだが、俺の見聞きしたことを参考に、
若い女性陣には最大の心の予防をしてもらいたい。