正義はきっと勝つ
現在手がけている案件が、なかなか進展しない。
俺一人のことだったら、気長に待てばいいのだが
助けてやらなきゃいけないひとがいるため、
そうダラダラとはやっていられないのである。
「もうこうなったら、俺がカチコミにいくしかねーか!」
と息巻いていると、良識ある周囲のひとたちから止められた。
だけど、俺の映像を撮ってくれているフリーのディレクターだけは
「押川さんの感性の思うまま、やるのが正しいと思います」
と言ってくれた。
そのひと言がなんだか嬉しくて、むしろ冷静になれた。
そういえば、俺は警備会社をやっていたときに、
取引先の事務所に、車で突っ込んだことがある。
その会社の社長ってのが、もともと底意地の悪い、
しょうもない人間性のおっさんだったのだが、とうとうあるとき、
仕事の対価(100万くらい)を踏み倒されたのだ。
俺はまだ20代と若かったので、最初は取引先に礼儀を尽くして、
何度も支払いのお願いに行った。
それでも鼻であしらわれて、挙げ句の果てに、
「てめえの会社に払うような金は、一銭もねーよ!」
という罵詈雑言まで投げつけられた。
そこで俺の怒りは頂点に達し、車を走らせて、
そのままおっさんの事務所に突っ込んでやったのだ。
新車だったから、一瞬迷ったけどな(笑)
でもその金がないと、従業員を食べさせていけなくなると思って、
俺は必死だったんだよ。
当たり前だが、おっさんは泡食って警察を呼んだ。
でも、現場に来て俺からも事情を聞いた警察官は、
むしろおっさんに対して、
「金は払わなきゃダメじゃないか」と説教してくれた。
しまいにゃ、そのおっさんの身辺から、
ぽろぽろ余罪が見つかって、最後は捕まっていたよ。
「正義は勝つ」ってのは、このことだろ?