実態
いろんなことを知っていて、
正しいことが何かも分かっていて、
それを誰かに説明したり、教えたりするのが上手なひとって、
けっこうたくさんいる。
だけどそれと、物事がうまくいくかどうか、
ひいてはそのひとの人生が充実したものであるかどうかは、
別物な気がするぜ。
俺がひとつ思うのは、
考えていることや言っていることがいくら素晴らしくても、
そこに行動、つまり実態がなければ、
あんまり意味がないんだなってことだ。
実態には、そのひとの汗や涙がしみこんでいる。
身を削るような、きつい思いの積み重ねでもある。
刑事が事件を解決するときに、
カンや予測だけじゃ逮捕できないのと一緒だよな。
靴底を減らして、物証を集めウラ取りを繰り返し……。
そういう意味じゃ、今話題のSTAP細胞騒動も、
着眼点や考えはよかったかもしれないが、
実態としての積み重ねはなかった、って話だもんな。
そこんところ軽く扱っちゃうと、
うまくもいかないし、トラブルにもなる。
昨日は夜から、なによりも〈実態〉に誇りをもって、
生きている男たちと酒を飲んだ。
うまい酒だった。
俺が今抱えている難問を解決するためには、
もっと自分を追い込んで行動を重ね、
実態を積み重ねていかなければならないと、改めて思った。