エスカレーターで行ったり来たりは無理なのだ!

昨日の記事の続きである。

 

仕事の役割を大きく分けたときには、

二つの種類があると、俺は考えている。

会社の業務を司るブレーンと、その下(現場)で働くひとたち。

たとえば、役所でいうところの「キャリア」と、

「ノンキャリア」の区別と言えば、わかりやすいだろうか。

 

ドラマや小説では、この「キャリア」「ブレーン」の人間は、

こころがなくて、見栄や体裁や金にがめつい…

なんていうふうに、描かれがちだ。

 

だけど俺は、それこそ「心のシマ」を持っているキャリア、

ブレーンの人間も、たくさん知っている。

 

彼らは今さら、現場で命や体を張ったりしない。

その代わりに、自分を追い込み、脳みそに汗をかいて、

ひとがうなるような考えやアイデアを繰り出している。

あくまで“知”の部分で勝負しているから、

仕事に感情を持ち込んだり、私情を挟んだりもしない。

 

そして、現場の人間に対して厳しい要求をする代わりに、

水面下でのフォロー、気遣いも忘れない。

それはもう、言葉一つ身のこなし一つとっても、

洗練された素晴らしいものなのだ。

たとえ現場の経験がなくとも、“知”の苦しみ、

アイデアを生み出す苦労を分かっているからこそ、

できることだろうと、俺は思っている。

 

そんななかで、俺が一番いただけないなあ…と思うのは、

「キャリア」(ブレーン)にも、

「ノンキャリア」(現場)にもなれないひとである。

まあ、俺からすると、なれないのではなく、

両方のいいとこどりをしたいだけだろう! と言いたいのだが。

 

以前にも「時代を狂わす40代」という記事で書いたが、

俺と同世代の40代に、こういう輩が本当に多い。

40代ともなると、そろそろ立派な肩書きがつく頃だから、

なおさらなのだろう。

 

奴らは、肩書き上はブレーンでありながら、

仕事についてとことん考えたり、アイデアを出すことはしない。

 

何かを考えなきゃいけない段になると、

まるでエスカレーターにでも乗るみたいに、

スルスルと現場まで降りてきて、

あれやこれやと余計な口を挟みはじめる。

それで、仕事をしている風を気取るのだ。

 

現場で楽しいことが起きていると、

やはり、そそくさとやってきて真っ先にはしゃぐのも、

こいつらの特徴だな。

それでいて、現場の人間に対してフォローアップもしない。

何か問題があったときには、知らんぷりか、現場のせい。

 

本当に困るよな。

 

こういう40代にならないために、

俺にアドバイスできることがあるとしたら、

若いうちに、自分の能力、素質を見極めて、

どっちかに決めて邁進するしかないぜ、ってことだ。

 

「キャリア」(ブレーン)で生きていきたいなら、

とことん脳みそに磨きをかけるしかない。

「ノンキャリア」(現場)の道しかないと思うなら、

どんどん現場に出て、命と体を張るしかない。

 

自分にとって、どちらが「心のシマ」を増やせるか?

それさえ忘れずに精進していけば、

なんとか生きていけるのではないかと、

俺は思っているんだけどな!