分をわきまえる
親は仕事もできて人間として立派でも、
子供にも同じ能力があるとは限らない。
むしろ、二世は一世に劣る。
そういう見方が一般的ではないだろうか。
そこで、本当に物の分かっている親は何をするか。
子供に、「分をわきまえる」ことを教えるのである。
たとえば、ある大企業の社長は、行きつけの鮨や(銀座の超有名店)に、
決して自分の息子を連れて行かないという。
「あいつは、その“器”じゃないから」というのがその理由だ。
親の地位や肩書きや資産を、
自分のものと履き違えて振る舞うことほど、
みっともないことはないもんな。
俺は仕事を通じて、
「分をわきまえる」ことが身につかなかったばかりに、
親の金を食いつぶすだけのモンスターになってしまった子供たちを
たくさん見てきたから、なおさらそう思う。
「なじみの鮨やに連れて行かない」なんて、
そこだけ取り上げると冷たい親父に思えるかもしれないが、
俺には、親としての最上級の“こころ”が感じられる話だった。