胡散臭い男のたわ言
俺は「胡散臭い」とよく言われる。
初対面の奴や、会ったことすらない奴からも、そう言われる。
まあ、しょうがねえよな!
なんたって顔も悪いし頭も悪いし、言葉遣いも悪いし、経歴も悪い。
そのうえ俺の仕事は、ひと言で説明できないようなものなのだ。
外側だけ見たときには、俺だって胡散臭いと思うよ。
そういえば昔、初対面でいきなり
「あなたみたいな胡散臭い方とは、親しくなるつもりはありません」
と言い放った、マスコミ関係者もいたな。
でも俺のことを胡散臭いと言って逃げていく奴に限って、
ほんものの胡散臭い人間…というか犯罪者だった。
そしてそういう奴らほど、世間からそんなふうに言われない、言わせないように、
実像をオブラートにつつんで生きている。
そこそこのいい大学を出て、いい所に住んで、
いい物を着たり、食べたりして、
人当たりがよくて、言葉遣いも丁寧で……
そういう表面的な体裁だけは、バッチリ整っているのだ。
「いかにして、胡散臭さを感じさせず、謀略や犯罪をやるか」
これが、最近世にはびこる犯罪者(=ほんものの胡散臭い連中)のベースになっているのではないだろうか。
そのためには結局、金が必要だから、
こいつらの犯罪はとどまるところを知らず、多くを巻き込んで肥大化していく。
愚直に泥臭くやる俺のスタイルとは真逆なのだが、
おそらく大多数のひとは、俺のほうを敬遠するのだろう。
だけど俺は、それでいいと思っている。
息をしているだけで胡散臭いと言われる俺は、
他人様から非難を浴びたり、嫌われたり、
文句を言われたり喧嘩を売られたりすることに慣れているので、
失って困るものなどハナっから持ち合わせていないし、
怖いものなどないのだ!!
こんな俺を尊重し、信頼してくれるごく少数のひとのために、
俺はますます泥臭く、胡散臭さ全開でガンガンやっていこうと思う。