サッカー日本代表が負けた、それでも俺はガタガタ言わない
勝負の世界は、勝つか負けるかしかない。
しかしおそらく、ほとんどが負けでできている。
永遠に勝ち続ける奴なんていない。
過去の歴史を振り返ってみてもそれは明白だ。
そもそも、この世の中(社会)自体、負で成り立っているようなものなのだ。
俺は、勝負の世界で勝ちを収めた奴を何人か、その傍らで見たことがある。
奴らに共通する特徴は、スレスレのところや、際どいところ、
死んじゃうんじゃないの、八百長じゃないの、ルール超えて反則じゃないの……みたいな、
本当にギリギリのところを華麗にやってのけるということだ。
紙一重の世界で、瞬間的に勝ちを引き寄せる。
その捌き方が、みんな見事にすごかった。
誤解を恐れずに言うと、「キチガイ(狂気)と正常」の出し入れが、
ミラクルに天才的なのである。
コイツ、人間じゃないのかも……と思わせるような、野生味が半端ない。
そういう意味では、今回のサッカー日本代表選手は、
真面目な選手ばかりだったのかもしれない。
また、そういう選手を望むのが、この国の文化だとも思う。
本田選手のように、「目標は優勝」なんて口にしただけで
「調子に乗るな」「大口叩くな」と言われてしまうのだから。
しかし、勝負の世界に生きる選手が最高峰を目指すことは、
本来、当たり前のことである。
それが野生であり、狂気なのだから、しかたない。
野生の動物が狩りに向かう瞬間に、「負けちゃうかもな~」
「やられちゃうかもな~」なんて思わないだろ?
海外の一流選手は、まさに野生と狂気そのもの、
ギリギリを平然とやってのける連中ばかりだった。
普段の練習も、その国の環境含め私生活も、
ギリギリ、スレスレを積み重ねてきているのだろう。
そいつらが出てきたときに、真面目な奴らが圧倒されるのも無理はない。
俺は、サッカーはド素人なので、プレーに関して細かいことは分からない。
しかし、「人間」という視点で見た時には、
日本代表には、野性味あふるる選手が、ほとんどいなかった。
肝心の本田選手は、病気で本当にコンディションが悪かったのだろう。
長友選手は、いつもの野性が欠け、劇的に真面目な選手になってしまっていた。
その中で唯一、野性があふれていたのが、大久保選手だった。
さすが、福岡出身、俺も育った環境の街の人間だ。
大久保選手の野性味を垣間見れたことは、同郷人として誇りに思った。
長い間日本代表から外されていても、一か月でほぼレギュラーになれたところ、
本番に向けて、コンディションも万全に整えてきたところ……。
それだけでも、彼の野性味を、十分に証明してみせたんじゃないだろうか。
ゴールこそ決められなかったが、やはり観ている分には、
その野生的なプレーがカッコよく、清々しかった。
負けた後もめそめそしてなかったしな。
もちろん俺は、真面目に頑張ってきた選手たちに敬意を表したい。
負けたことに対して、ガタガタ文句を言うつもりもない。
真面目な彼らのことだ、今頃、死ぬほど悔しい思いをしているだろう。
「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」という後悔や反省だって、
これからおそらく死ぬまで、抱えて生きるのもまた彼らなのだ。
しかし、勝負の世界に限らず、仕事でも同じだが、
一度でも頂点を極めようと思うなら、【ヤンチャ=野性】の要素が必要不可欠なんだな。
海外のチームを見ていれば、一目瞭然だ。
人間としての視点で観た時には、今回のW杯は本当に勉強になった。