家庭内紛争
今日からブログを始めることにした。俺の仕事のことや、ふだん考えていることなんかをつらつらと書いてみるつもりだ。
俺のところには、人間同士の困った問題を抱えた人たちがたくさんやってくる。そのなかでも、家族の問題っていうのがダントツで多い。親が子供のことで相談に来るとか、最近は、親のかわりに兄弟姉妹が相談に来るっていうケースも増えてきた。
「家庭内暴力」「ニート」「ひきこもり」「浪費癖」「依存症」……相談の内容をざっくり言ってしまうと、なんだか「よくある話」と思うだろう。でも実際の現場は、壮絶だ。それこそ「殺すか」「殺されるか」みたいなことが、家族の間で起きている。
そもそも俺のところに相談に来るのは、あちこちの専門機関にも相談にいったけれど、問題のハードルが高すぎて、 相手にしてもらえなかった、っていう家族がほとんどだからね。
まさに「血に染まった家庭内紛争」が勃発中ってわけだ。
家庭内紛争っていうのは、「個」に端を発している。家族の誰か(個)が問題の火種をつくる。最初はすごく小さな火種だ。だけど、ほかの家族にもそれぞれ「個」の思惑があるから、やがて「個」の対立が生まれる。それはいつしか「個」の闘いになり、最終的に、その中で一番アウトローな「個」の力に、圧倒されることになる。そのときにはもう、火種を作った人物は暴君となり、家族を制圧している。
家族っていう形態がなければ、起こらない紛争だけど、ほとんどの人が、生まれたときにはすでに家族をもっているからね。
俺の仕事は、家族の中の「個」の闘いを、まあるくおさめることにある。
誤解されがちなんだけど、どっちかの肩を持とうと思ってやってるつもりはない。いくら火種をつくっている本人がめちゃくちゃな人間でも、真剣に「生きる道」を探しているし(それが精神科病院への入院という場合ももちろんある)、相談にきた人間がおかしな考えを持っているときには、「おかしい!」とはっきり言わせてもらっている。
この間も、相談に来た親があまりにデタラメを言うので、思い切りうなり飛ばしてやった。そのくらい、俺は気合いを入れて、相談者と対峙している。誰かがそこまでやらないと、この家庭内紛争ってやつは、決して解決できないからね。
相談に来た人間と問題の張本人、双方のバランスをとりながら、対話を積み重ねていく。
それが押川流、家庭内紛争の解決策だ。