気づかいと感謝
一時代を築いてきた年上の先輩を見ていて思うことは、
彼らは裏方さんをとても大事にしている、ということだ。
皆が呼び捨てにして、あごで使っているような立場のひとにほど、
気づかい、感謝のこころを忘れずに接している。
かっこいいな、と、俺は思う。
人間、自分の地位があがったり、金もうけがうまくいったりすると、
裏方さん含め、立場の弱いひと、地位の低いひとに対して、
横柄な態度をとるようになりがちである。
あからさまに横柄なことはしなくても、
気づかい、感謝のこころは忘れてしまいがちだ。
それって結局、こころの矢印が自分に向いてしまっている、ってことだ。
同じ金儲けでも、こころの矢印が自分に向いている状態では、
絶対にうまくいかない、と俺は思っている。
矢印が自分に向くってことは、自分に入り込むことだし、
そうなると、ひとの意見を素直に聞けなくなる。
裸の王様みたいになったって、誰も注意してくれない。
そして綻びが生まれたときに、助言をしてくれたり力を貸してくれたりするのは
実は裏方さんたちなんだけど、自分のことしか考えていない大将には、
誰もついていかないよな。
同じようにてっぺん取ったひとでも、
ある日、ぱたっと消えてしまうようなひとは、
そういう大事なことを、忘れていたんだろう。
俺はこう見えて裏方仕事のほうが多いので、
その舞台裏をけっこう見てきた。
俺みたいな奴に、常に礼儀を尽くして接してくれるひともいれば、
毛虫でも見るような態度で、接してくるひともいる。
俺自身がどっちのやり方で生きていきたいかは、言わずもがなだ。