嘘と妄想
立派な家に住み、親は社会的地位のある職業に就いている。
子供の教育には金を惜しまず、多少の無理をしてでも、
習い事をさせたり、金のかかる学校にいかせたりする。
外側から見たときには、恵まれた一つの家庭に見える。
それなのに、子供がある程度の年齢になったとき、
ひきこもりになったり、こころの病気になったり、
あるいは薬物乱用など犯罪に手を染めるようになる。
なぜ、そうなるのか?
さまざまな理由、原因があるとは思うが、
俺なりのシンプルな答えの一つとして言えるのは、
「家族(親)の中に嘘がある」
ということだ。
立派な家に住んでいても、ローンに苦しめられ家計は火の車。
両親はそろっていても、愛情はなく、殺伐としている。
子供の習い事や勉強にしても、結局は親の見栄でやらせているところが大きい。
実態はそんなもんなのに、世間に対しては、
金があり愛情があり、才能ある子供がいるようなフリをする。
親がそんな、嘘つきまくりの生活をしていれば、
やがて子供も、嘘を共有するようになる。
親を利用して、自分もいい思いをしよう、
ラクをして生きていこうと、考えるようになるのだ。
親の嘘と子供の嘘が共鳴し、一時的にはうまくいくかもしれない。
しかし、嘘の積み重ねは、やがて妄想を産む。
嘘や妄想は、一般社会においては、通用しない。
だから子供は崩壊し、家族も崩壊する。
こうして道をはずれた子供を立ち直らせようと思ったときには、
子供が嘘をつかずに生きていける環境を、見つけてやるしかない。
しかしそのためには、親が子供についてきた嘘を認め、
真実を告げることからしか、始まらないのである。