EQについての本を読んだ
この間、EQ(心の知能指数)に関する本を読んでいて、
これからの世の中を生き抜くためには、
この部分がますます欠かせなくなっていくんだろうな、と感じた。
EQについては専門書がたくさん出ているので詳しくは書かないが、
EQ理論提唱者が述べているEQの五大要素とは、以下のようなものである。
1.自分の感情を正確に知る
2.自分の感情をコントロールできる
3.楽観的にものごとを考える、もしくは自己を動機づける
4.相手の感情を知る
5.社交能力、対人関係能力
こうしてみると「できたほうがいいに決まっているじゃないか!」
というような、重要な要素ばかりであるのだが、
俺なりに感じたことは、まずは“自分が何者であるかを知る”
ということの重要性である。
このブログには何度も書いてきたことだが、
心の病気しかり犯罪しかり、問題の起きる子供の家庭では、
親が子供に対して嘘を吐いていることが本当に多い。
嘘、と言うと端的すぎるかもしれないが、
たとえば実態とは違う家族像、夫婦像を子供に見せていたり、
子供に対して能力以上のもの、どうみても向いていないものを親の都合で強要したり、
といったことも含まれる。
そのような生育環境で育った子供は、
現実ではなく幻想の中を生きることになる。
結果として、親が描く自分像、自分自身が描く自分像、社会から見た自分像、
この三つが、どんどん乖離していくのである。
そしてその乖離にこそ、心の病気や、犯罪への誘惑が入り込む。
とくに日本では長らく、情操より知識を詰め込む教育が優先されてきた。
EQがないところに知識だけを乗せたところで、悪用する奴が増えるのは当然だ。
たとえば高齢者をターゲットにした詐欺に象徴されるように、
被害者が騙されたことにも気づかないほどの、巧妙な犯罪が増えているのは、
そのためではないだろうか。
ちなみに俺が携わってきたケースで、
更生できた奴らに共通していることを考えてみると、
“親の嘘に気づき、正面からそれを否定できた”
ということが、例外なくある。
それができて初めて、彼らは等身大の自分を取り戻していく。
等身大の自分で生きてこそ、「自分の感情」が生まれる。
EQの五大要素にあるような、
「自分の感情を正確に知る」「自分の感情をコントロールできる」……
なんていうのは、そこから先の話なのではなかろうか。