どんなふうに年をとるか
俺のところに舞い込んでくる依頼には、
これまでの経験をもとに、パパッとできてしまう仕事もあれば、
自分自身を追い込んで、追い込んで、追い込みまくらなければ、
引き受けられない仕事もある。
依頼を断ることは簡単なのだが、難易度が高ければ高いほど、
「やるしかない!」と血が騒いでしまう。
事務所のスタッフが、「この仕事はちょっと……うーん」と
眉間にシワを寄せているのを見たときなんかには、
かえって俺のやる気に火がついてしまう。
俺は最初から自分で会社を興してやってきたので、
本当に仕事も金もなくて、惨めな思いも経験しているし、
取引先から手のひら返されるような目にも、たくさんあってきた。
だからこそ、難しいとかいう理由で仕事を断ったら、
「もう先がないぞ! 己の進化・成長もないぞ!」という強迫観念も、常に感じている。
これはもう、俺の性分であると分かっているので、
いつでも自分を追い込めるよう、日々の生活はとにかくシンプルにしている。
物を持たない。居住空間を快適にしない。
のめりこむような趣味を持たない。人付き合いは狭く深く。
酒は誘われたときにしか飲まない。タバコは吸うけど(笑)
年をとるほど楽になりたい、無茶をしなくていい生き方をしたい……
そういうふうに思うひとのほうが、多いのかもしれないけど、
ジジイになって、耳が遠くなって足腰立たなくなっても、超難題を持ち込まれる人間、
生涯現役で現場仕事ができる人間を、これからも目指して行きます!