最上級のボトム

「夢は努力すれば必ず叶う」なんてことを、

恥ずかしげもなく言う大人がたまにいるけど

俺は、そうは思わねーな。

 

こんな時代に、下剋上などあるわけがないし、

人間は所詮、自分の能力の範疇でしか生きていけないのだ。

 

この能力の範疇というのは、生まれ落ちた時点で決まっているのかもしれない。

いや、きっと決まっているのだろう。

 

育った環境がどうだったか、親がどうだったかで、

その後の伸び率みたいなものは、変わっても、

根本的なところは、見るひとが見れば、幼少期の時点で、

ある程度のことが分かるのではないか、とすら思う。

 

だからこそ、明らかに勉強が向いていない人間が、勉強を頑張っちゃったり、

その日暮らしの生き方が向いている人間が、安定を求めたり、

現場仕事が得意な人間が、肩書きなど上を目指したり、

それって、まったく建設的な生き方ではないと思う。

費用対効果も、悪いよな。

 

俺はこう見えてガキの頃までは勉強もできたのだが、

いかんせん、「勉強を頑張っていこう!」というような、

学問に対する志が、まったくなかったんだな!!

 

それよりは、ワルそな奴らとつるんだり、

コイツちょっとおかしいな……という奴と親しくしたり、

ケンカや遊びや人間観察に明け暮れているほうが、ずっと楽しかった。

 

しょせん俺は、ド底辺で生きる能力しかない、

スーパーボトムの人間なのだと、あらためて思う。

 

そんなスーパーボトムの俺が、名前を出して仕事が出来ているのは、

周りに、上層部(トップ)の役割をしてくれるひと、

管理職(ミドル)の役割をしてくれるひと、

それぞれの役割を担ってくれるスタッフがいるからなんだな。

 

それは、どこの会社でも同じだと思う。

だから俺は、年功序列で役職や賃金があがっていくようなシステムは

本当にばかばかしいと思うし、そういう企業にいながら

「自分は生涯、現場で頑張ります!」

と言っている奴に会うと、イイね! と思う。

 

スーパーボトムの俺にあるのは、命と身体だけだ。

なので俺は、上を見ていく生き方はしない。

 

しかし、俺にも欲求として、向上心はある。

だからこそ目指すところは、最上級のボトムなのである。