正しい親
少し前になるが、佐世保の同級生殺害について、
児童相談所の対応を検証した長崎県が報告書を提出した。
報告の中で県は、児童相談所幹部の理解不足を批判している。
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(以下引用:日本経済新聞 2015年2月6日)
「児相幹部ら理解不足」 佐世保事件、県が報告書で批判
長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件で、県は5日、事件前に県の児童相談所が少女(16)=家裁送致=に適切に対応できなかったのは、児童福祉制度に関する児相幹部らの理解不足があったとする報告書を県議会に提出した。本来は児相や警察、学校などで対策を話し合うべき対象だったのに、他機関の意見を聞かないまま判断したと批判している。
県は報告書で今後、人員増強や職員の研修強化に取り組むとしたが、5日の県議会委員会で「再発防止策が不十分」との批判を受け、報告書を修正する方針を示した。
少女の精神科医は昨年6月、児相の担当者に電話で「放置すれば(少女が)誰かを殺すのではないか」と通報。警察や学校の関係者でつくる要保護児童対策地域協議会(要対協)での検討を求めたが、児相職員は「要対協で支援するケースとは思えない」と断り、幹部も追認した。
これに対し報告書は、医師の通報への対応は不十分で話を聞きに行くなど調査をすべきだったと指摘。他の機関からの通報や相談を安易に受けないよう部下を叱責していた児相幹部による部下への日常的なパワハラも間接的に影響した可能性が否定できないとした。
さらに事件前に父親を金属バットで殴打するなどの行動や、精神科医の通報内容を考えると「少女は要対協の対象だった」としている。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC05H1N_V00C15A2000000/
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加害少女を「要保護児童」としなかったことに関して、
県は児相幹部を「制度に関する理解不足」として批判しているが、
それで済まされるようなことではないだろう。
この加害少女の場合、父親をバッドで殴る以前にも、
給食に異物を混入したり、動物を解体したりしていた。
すでに「事件」ともいえる出来事を起こしていたのだ。
そこで学校や児相(行政)が踏み込めなかったのはなぜか。
これは、最近の事件(名古屋の老女惨殺や和歌山の男児刺殺)でも同じだ。
本人は「予兆」ともいえる行動をしており、周囲には、異変に気づいているひともいた。
(とくに名古屋の女子大生は、高校時代に同級生にタリウムを摂取させた疑いがあり、
佐世保の加害少女と共通するものがある)
しかし結局は、介入しきれずに事件に至っている。
たとえ学校や行政機関であっても、
第三者が介入することは、それだけハードルが高いのである。
俺はここに、「親>行政」の力関係を感じる。
これは、子供に対する虐待でも同じだ。
俺もいくつか実態を見てきたが、あからさまな証拠(大怪我など)があれば、
強制介入もなされるが、心理的虐待などの見えにくいものに関しては、
周囲の第三者がどれだけ訴えても、未だに「親>行政」である。
俺からすれば、児相や保健所などの行政機関はやはり、
「本人のことを100%考えた」対応は、とってくれないのである。
それがいくら本人のためになることであっても、
将来や、家族・親族に派生する影響が少しでもあれば、尻込みする。
だから親(家族)の覚悟を見ながらでしか、事を進められない。
逆に言えば、「親(家族)」の責任は、それだけ大きいということだ。
たしかに、こころに問題を抱える対象者を精神科医療につなげることは、
年々、難しくなっている。だからこそ親(家族)は、
「○○に相談にいった」というような、表面だけをさわる対応ではなく、
もっと踏み込んだ行動をとっていく必要がある。
その過程で親が、仕事や金や世間体などにおいて
犠牲を払わなければならないことも、もちろんあるだろう。
しかしその姿勢があってはじめて、親の本気度がうかがえるし、
そこまでされたら、行政や医療機関も動かざるをえなくなる。
結果として、本人と家族を守ることにつながる。
前出の三つの事件でも、本人のあまりにも危険な予兆に対して、
親(家族)の踏み込んだ対応は、とられていなかったのではないか。
子供を精神科病院に入院させたり、警察に突き出したりすることを
「かわいそうだ」と言うひとがたまにいるが、放置した結果、
第三者を傷つけたり、ましてや命を奪ってしまったり……
といったことが起きれば、取り返しがつかない。
子供本人にとっても、最大の不幸である。
そういう意味でも、子供の人権や尊厳を守ることができるのは
やはりどこまでいっても親なのだと、俺は思っている。
というようなことを考えていたら、
ちょうど、このようなニュースがあった。
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(以下引用:産経新聞 2015年2月11日)
危険ドラッグ所持の男、母に連れられ警察へ 千葉
指定薬物を含む危険ドラッグを所持していたとして、成田署は10日、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反などの疑いで、成田市宗吾、無職、夏海法行容疑者(32)を逮捕した。逮捕容疑は、1月13日午前、同署で麻薬・指定薬物(通称NNE1)を含む乾燥植物片約0・36グラムを所持したとしている。
同署によると、ぼーっとするなど夏海容疑者の様子が普段と違うことに気付いた母親がズボンのポケットを探ったところ、薬物の入った袋を発見。夏海容疑者とともに同署に相談に訪れたという。
夏海容疑者は都内での購入をほのめかしており、同署は詳しい入手経路を調べている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150211-00000027-san-l12
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これこそが、正しい親の姿ではないだろうか!?