仕事のタイトル
昨年はいろいろと忙しくて、気がつけば、会うひとごとに「どこか悪いんじゃないの?」
と身体の心配をされてしまうほど、疲れている日が多かった。
その反省を踏まえ今年は、自分のペースを大事にしていこうと思う。
ちょうど、「エッセンシャル思考」という、面白い本を読んだ。
オビに「99%の無駄を捨て1%に集中する方法!」とあるように、
NOと言える勇気を持ち、自分にとって本質的に大事なことに集中しましょう!
ってなことが書いてある。
このようなビジネススタイルというか自己啓発のようなものは、流行廃りが早い。
おそらく「今」は、こういうスタイルが主流なのだろうと思いながらも、
身につまされる箇所が多く、非常にかみしめて読んだ。
俺の仕事は、民間のスタイルでやっているし、それなりに報酬ももらう。
だからなのか、相談にくる家族の中には、「あんたが好きでやってんだろ」
「金、払ってんのはこっちだろ」みたいな姿勢を、出してくる家族もいる。
そういう家族に接していると、俺も思わず
「なんのために、この家族の業務を請け負っているのか?」
ということを、考えてしまう。
もちろん、仕事である以上、100%の体制で頑張るが、
深層心理におけるモチベーションは、当然、下がるし、
自分の役割というものを、真剣に考えざるをえなくなる。
それでここしばらく、本の助けもあって、
俺にとって大事な本質は何か、ということに思いを巡らせていた。
俺は、ひと様が嫌がるようなことを請け負ったり、
危険な場所、ヤバい現場にいくことは、まったくいとわない。
ただし、命をかける分、仕事をするときのテーマは大事にしたいと、改めて思った。
請け負う仕事に対して、「タイトル」を明確に、楽しくつけたいのだ。
たとえば、精神疾患の患者さんを医療につなげるだけなら、
今はそれを専門に請け負ってくれる業者は、たくさんある。
でも俺が仕事をするなら、「本人も家族も、生涯、安心して暮らせる環境」
を、コーディネートすることができるし、そうしたい。
薬物や非行、ひきこもりの問題にしても、
それをやめさせる取り組みをしているところは、いくらでもある。
たしかにその行為自体をやめさせるだけでも大変なのだが、
俺はやっぱり、「この人間を、○○にする!!」というような、
さらなる高みを目指したい。
俺が思いつく高みは、往々にして
99%のひとが「ムリだよ」と言うようなものなのだが(笑)、
俺はそう言われるほど、やる気が出るタイプなのだ。
「この人間を、○○にする!!」というのは、そのまま仕事のタイトルにもなる。
俺も、面白くてやる気が出るし、家族も明るい気持ちになる。
そういうタイトルがパッと思い浮かぶ依頼にこそ、
俺の役割があるのではないかと思う。
それに、そうやって取り組んだ仕事ほど、
思った以上に本人がすごい結果を出すこともあって、
なんというか、ミラクルが起きるのだ。
逆に、考えても考えても、面白いタイトルが浮かばない依頼もある。
そうなると、「○○円もらえるなら、やるか」みたいな感じで
「金額」がそのままタイトルになってしまう。
その金額がいくら高額でも、俺は少しも楽しい気持ちにならない。
今まではそういう仕事も、経験と割り切って頑張ってきたけど、
そのやり方では結局、ミラクルは起きないし、
魂をすり減らす仕事でしかなかった……と、今は思う。
そろそろ俺も「エッセンシャル思考」でいかなきゃな。
もっとハッキリ言ってしまうと、面白い仕事のタイトルが浮かぶときっていうのは
やはり関わっている人間が、真剣に、熱意をもって、そのことを考えている。
たとえば家族なら、本人のことを真剣に考えているし、愛情がある。
ほかの仕事であっても、関わる人間が、「なんとしても成就しよう!」と、
熱い思いで頑張っている。
情熱や愛なんて、今どき古くさいと言われるかもしれないけど、
俺はやっぱり、そういう人間らしさのあるものに、こころを動かされる。
どう生きたって、限りある人生なのだ。
少なくとも俺は、人間らしく生きていきたいので、
そういう場所にだけ首をつっこんで、頑張っていこう。