すべてイレギュラー
俺はとにかく、型にはめられるのが、大・大・大嫌いだ。
とくに、皆がこうだからとか、世間はこう言うからとかいう、
自分の目では見えない、よく分からない基準で縛りつけられること、
それが俺にとっては、最大のストレスになる。
だいたい型にはまるのが嫌だから、大学も中退してしまったし、
サラリーマンにもなれずに、自分で会社を興したわけだ。
俺の仕事のスタイルは、攻めて攻めて攻めまくり、
言いたいことを言いまくって、動きまくることだ。
それで大失敗しても、ひと様から「おかしい」と批難を浴びても、
自分がとことんチャレンジした結果だから、後悔はない。
その経験からしか学べなかったことも、山ほどあったと思っている。
若い頃は、攻めのスタイルを完璧に貫くことができたので、
体力的にきつかったり、他人から馬鹿にされたりしても、
精神的にストレスを感じることは、一切、なかった。
だけど最近は、俺もいい年齢になっちゃったせいか、
周りのひとが、俺を自分たちの思う規格にはめようとする。
とくにテレビに出るようになってからは、そういうひとが増えたな。
俺の攻めの姿勢が危険きわまりなく見えるらしく、
もうちょっと大人しく、もうちょっとお上品にって感じで、
制限ばかり加えられる。
俺からすると、それは俺じゃなくてもできるじゃん、と思う。
だいたい俺はこれまで、すべて「イレギュラー」で来ているのだ。
過去の仕事の歩みを振り返ってみれば、それが分かる。
家族の問題にしても、家族から相談を受けて、
最初に考えたプラン通りに事が進んだことなんて、一度もない。
途中で家族の嘘が発覚したり、本人のとんでもない事実が暴かれたりして、
そのたびに動きを変えて攻めまくり、結果を導き出してきた。
警備会社の頃は、クライアントと思って契約を結んだ相手が、
とんでもない詐欺師であることが途中で発覚して、
ほかの仕事を全部ストップして対応に当たったこともある。
従業員が仕事を無断でサボるだけでなく
会社の社名入りの車でラブホテルにしけこんじゃったり、
信頼していた従業員が売上げを持ち逃げしたり。
某組織に会社をのっとられかけたこともあったな。
俺はまさに命がけでそれを阻止したのだ!
俺がおかしいから、おかしい人間が集まってくる……
と言われてしまえばそれまでだが、
とにかく安定とはほど遠い、まさに「イレギュラー」の宝庫。
まともな感覚のひとが見たら、なんだこりゃ!?
と逃げ出しちゃうレベルだろうと、我ながら思う。
そんなすべてがイレギュラーな俺に
レギュラー感覚を求められても、困るし、
それが俺にとっては、最大のストレスになる。
そろそろ、攻め方を変えな、あかんな。