母親教②
昨日のブログでは、俺が携わる家族の問題のうち、
依頼時に「30~40代の男性」が圧倒的に多いことを書いた。
次に多いのが、「20代後半の女性」である。
そして実は、彼女たちの母親もまた、
昨日書いた「母親教」の教祖様そのものなのである。
ただし娘の場合、息子とは違った形で問題が出てくることが多い。
あくまでも俺が見てきたケースによるのだが、
ひきこもりや家庭内暴力ではなく、「犯罪」に走ってしまうのだ。
とくに多いのが、違法薬物の使用と、
交際相手の犯罪に加担する(巻き込まれる)ケースである。
ここには、「母と娘」という、同姓ならではの育て方もあるのだろう。
母親が、自分のできなかったことを娘に託そうとするのは、よくある話だ。
「女も社会に出て仕事をする時代だ。勉強していい学校に行け」と言いながら、
「ちゃんと結婚して、子供も産んだほうがいい」と、当たり前のように言う。
もっとすごいのになると、ここに、
「自分(母親)の良き理解者であってほしい」とか
「老後の面倒は、やっぱり実の娘にみてほしい」
というのが、のっかってくる。
ダブルバインドどころか、トリプルバインドであるのだが、
当の本人は、そこに至るまでに親の洗脳を受けまくり、
「自分にはそれができるはずだ」という、ヘンな万能感を持っている。
しかし現実は、何もかもがうまくいくはずもなく、
いつのまにか鬱々とした気持ちが、積み上がっていく。
そうなったときに、女性(娘)と男性(息子)で大きく違う点は、
女性の場合、人間関係や就職などにつまずくことがあっても、
水商売や結婚という受け皿があることだ。
ただ、水商売をやるにしても、「自分の店を持とう」とか
「これでメシを食っていこう」という気概のある、本職の女性とは違う。
男にちやほやされて、ラクをして金をもらいたい、という程度なので
ヘンな男にひっかかったり、犯罪にまきこまれたりする。
そこに薬物がのっかってくることもある。
結婚という受け皿にしても、同じである。
人生をロンダリングするための結婚でしかないから、
人間の目利きもできず、しょうもない男にひっかかる。
だいたい今の時代、表面的には普通のサラリーマンの顔をして
裏ではトンデモナイ悪事を働いている男は、本当に多いのだ。
(この顕著な例として、過去に「デート商法、投資用マンション詐欺」や
「結婚詐欺②」という記事を書いているので、興味があったら読んでほしい)
また、女性の場合はどうしても、
結婚すれば「相手の家に嫁いだ」かたちになってしまう。
せっかく自分の母親からの洗脳や呪縛から逃れても
今度は義理の親からの洗脳、呪縛にからめとられることもある。
もう一つの大きな問題点は、
男性(息子)のひきこもりや家庭内暴力と違って、
女性(娘)の問題は表面化しにくい、ということだ。
俺が携わってきた女性たちも、大半は
親が問題に気づいて頭を下げてきたのではなく、
あくまでも俺が本人と出会い、関わるうちに重大な問題が発覚している。
そもそも「母親教」の教祖様である母親は、
娘の問題ほど、素直に認めたがらない。
なぜなら、自分の人生の過ちを認めることとイコールだからだ。
ひきこもりや家庭内暴力は、被害が自分に及ぶから、
しぶしぶ、俺みたいな人間のところに助けを求めにくる。
だが娘が外でやりちらかしていることに関しては、
「バレなきゃOK」という感覚なのだ。
ひどい親になると、「さっさと結婚でもして、
相手の男(家族)に面倒みてもらえれば……」とすら言う。
だから俺は、どこまでも母親からの洗脳に侵され、
自分の抱えている問題にすら気づかずに生きている女性は、
けっこうな数、いるのではないかと思っている。
そして、そういう女性が子供を産んだときには、
母親から受けた洗脳教育を、我が子に繰り返すしかない。
表面的にはいい感じに人生を過ごしているように見えても、
内情は爆弾を抱えているようなものだと、俺は思うのだ。