もし……
「もし別の人生を選べるとしたら、何になりたいか?」
先日、うちのスタッフから突如、そんなことを聞かれた。
俺はふだん、そういうことを考えもしないし、
質問自体、俺の生き方の範疇外という感じなので、
しばし、答えに迷ってしまった。
で、出た答えが「スポーツ選手」だった。
小学生みたいだな(笑)
でも、身体一個で、言い訳のきかない真剣勝負に挑むところが
たまらなく潔い世界だな、と思うわけだ。
僭越ながら、俺の仕事に通ずるところもあるので、
シンパシーを感じるんだな、きっと。
そういえばこの間、新幹線に乗ったとき、
近くの席に、某スポーツ選手が座っていた。
オリンピックで金メダルをとったこともある選手だ。
彼は、警戒心のかけらもないような様子で、
五時間近く、ずっと漫画を読んでいた。
しかもときどき、「フフッ」と声に出して笑いながら(笑)
俺は、「いーなー!!」と思ってしまった。
現役時代の彼の試合は、テレビで何度も観たことがあるが、
それはもう、燃えるようなオーラが、画面越しにも感じられたものだ。
おそらく今でも、ユニフォームを着せて試合会場に立たせたら、
そんじょそこらの人間など、圧倒してしまうだろう。
それくらい、すごい選手だったのだ。
そこに金メダルという肩書きがついたら、ひとによっては、
「電車で漫画を読むのはやめよう」とか
「ちょっと小難しい本でも広げておくか」とか、
格好つけちゃったりもするはずなのに、そうじゃない。
そんなこと、1ミリたりとも考えてなさそうなところが、
なんというか、さすが金メダル! と、俺なんかは思うのである。
ちなみに俺が、最上級にご尊敬申し上げている女性の一人は、
女子レスリングの吉田沙保里選手です。