いい「ありがとう」を言おう
ひと様から褒められたくて仕事をしているわけではないが、
業務がひと段落ついたとき、クライアント(家族)から
こころのこもった御礼の言葉を言われれば、やっぱり嬉しい。
俺は、今までに千人以上の患者さんに携わってきたが、
同じ数だけ、家族とも接してきたことになる。
その分、いろんな「ありがとう」を聞いてきた。
本当に真心のこもった「ありがとう」もあれば、
表面的には丁寧でも、こころが感じられない「ありがとう」もあった。
「はいはい、どーもね」と、軽くすまされることもあったし、
そもそも御礼の一つもないことだってある。
俺の仕事ぶりに、至らないところがあったのかもしれない。
だが、「ありがとう」というシンプルな言葉だからこそ、
そのひと、その家族の人間性が、透けてみえるように思う。
挨拶をきちんとしよう、ということは、
人間の基本として、ガキの頃からさんざん躾けられてきたはずなのに、
大人になるほど、「ありがとう」や「すみません」の言葉を
適当に扱う人間が増えるのは、いったいどういうことだろう。
とくに、自分より下の立場の人間や、若い人間に対して、
こころからの「ありがとう」や「すみません」を言わない。
プライドなのか何なのか知らんが、
それこそ「どーもどーも」みたいな感じで、軽く流す。
そういう奴に限って、自分より上の人間には
ペコペコペコペコ、小僧寿司の看板かっつーくらい
頭を下げまくっているんだよな。
まったく、「ありがとう」や「すみません」の言葉には
その人間の生き様が、滲み出ると思うぜ。
若い奴らだって、仕事して報酬をもらっているのだから
御礼や謝罪ばかり求めているわけではないだろう。
でも、何か力を貸してくれたときや、
こちらが感動するくらいのいい仕事をしてくれたときには、
こころからの「ありがとう」を贈るべきだと俺は思っている。
それが、彼らにとって何よりの報酬になることだって、あるのだ。
俺は、60代、70代の先輩たちと仕事をさせてもらうこともあるが
やはり一生懸命仕事をして、一生懸命生きてきたひとの言葉は、重みが違う。
「押川くん、ありがとう!!!」
そのひと言に、最上級の感謝・感激・感動が込められているのだ。
だから言われたほうは、それだけで元気いっぱいになり、
思わず「これからも、一生懸命頑張ります!」と言ってしまう。
良い「気」のサイクルのできあがり、ってわけだ。
俺も、いい「ありがとう」が言える人間でいたい。