〈母と祖母殺害〉「生活態度を注意され」高1男子逮捕 横浜
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(以下引用:毎日新聞 5月18日)
母親と祖母を殺害したとして、神奈川県警戸塚署は18日、横浜市戸塚区の高校1年の男子生徒(15)を殺人容疑で逮捕した。容疑を認め「生活態度を注意され、腹立たしくなった」と動機を供述しているという。
逮捕容疑は、18日午前8時ごろ、自宅で、母親(50)と祖母(81)の胸などを刃物で複数回刺すなどして殺害したとしている。
同署によると、同日午後0時50分ごろ、自宅近くの交番に、一人で包丁を持って徒歩で訪れ、「人を殺してしまいました」と自首した。バッグに入れていた凶器とみられる包丁(刃渡り約17センチ)を警察官に示したという。
自宅に駆けつけた警察官が、1階で母親、2階で祖母が倒れているのを発見した。
男子生徒は、父親(50)、母親、祖母、中学1年の妹(12)との5人家族で、父親は県外に単身赴任している。妹は事件当時、外出中だった。
調べに対し「生活態度を注意されて腹立たしくなった」と供述。「大変なことをしてしまった」と話している。
父親は、母親と男子生徒の間にトラブルの兆候はなかったと話しているという。県警は供述などから、かっとなって突発的に刺したとみている。いじめや非行など、学校関係のトラブルは確認されていない。
【水戸健一、深津誠】
◇クラスの盛り上げ役、かっとしやすい面も
男子生徒の友人や近所の住民らは「おとなしくて真面目な子」「家庭内にトラブルがあるようには見えなかった」と話し、一様に驚いた様子だった。
近所の住民らによると、母親はガーデニングが趣味で、近所の公園で花壇の水やりのボランティアをしていたという。事件直前の18日午前7時ごろ、自宅の庭を手入れする男子生徒の母親にあいさつをした近くの男性(25)は「特に変わった感じはしなかった」と話した。
同級生らによると、少年は中学時代、柔道部に所属する一方、ゲームやマンガ、小説を読むのが好きで、ゲーム機やソフトを数多く持っていたという。同級生の少年(15)は「テスト期間中に『母親にゲームを取り上げられた』とぼやいていたことがある。テストの成績はよかった」と話した。一方で、「優しくてクラスの盛り上げ役だったけど、かっとしやすい面があり、ささいなことで友人を蹴ったりすることもあった」とも話した。
【国本愛、大場弘行】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150518-00000140-mai-soci
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俺がこのニュースを見て、
キーワードとして気になったのは、「ゲーム」である。
こういうことを書くと、「なんでもかんでもゲームのせいにするな」
という批判を浴びてしまいがちだが、俺はやはり無関係ではないと考えている。
なんでかと言うと、俺が携わる子供の中でも、
無職や不登校で部屋にひきこもり、
ゲームやアニメに没頭しているケースは、少なくないからだ。
ゲームやアニメに傾倒しすぎて、働きたくない、
学校に行きたくないという心理に陥るのか。
もしくは、無職や不登校のきっかけは別にあっても、
一日中家にいれば、ゲームかアニメくらいしかやることがないから、
どんどんはまってしまった、というケースもある。
いずれにしても、たとえば本人を医療機関や施設につないだあとで
親と一緒に本人の部屋を見てみると、それはもう、おびただしい数……
何百という数のゲームソフト、アニメのDVD(アダルト含む)、
同人誌といったものが出てくる。
親から聞いた限りでは、その多くは、
親に暴力を振るったり脅したりして得た金で、買った物だ。
自分の観たいアニメ番組を、親に録画しておくよう強要して、
失敗すると暴力、暴言の嵐、という話もよく耳にする。
親のほうがノイローゼみたいになっている。
俺には、その尋常ならざる執着ぶりが、
「シャブと一緒だな!」と思えてならない。
ゲームやアニメには、それだけの中毒性があるように感じる。
ゲームやアニメ依存の対象者は、未成年の場合も少なくないのだが、
彼らに共通している振る舞いに、「上から目線」がある。
相手が年上だろうがなんだろうが、畏敬の念がまったくない。
俺もこんな人間だし、別に丁寧に対応してほしいとは思わないが、
顎を突き上げて「それで?」とか言われちゃうと、
分かってねーな、と思うし、逆に恐ろしくもなる。
上下関係や力関係を推し量る能力も、社会で生きていくためには、
必要不可欠だと思うんだけど、現実感覚がないのである。
だからこそ、それが常軌を逸しているならば、
「ダメなもんはダメだ!」と叱る必要がある。
だけど親はもうお手上げ状態だし、
専門家ですら、「そこは個人の自由だから…」と、触ろうとしない。
それどころか、本人の気を引くための、
駆け引きの材料として利用することすらある。
過去に俺は、親からの依頼で、
ひきこもってゲームばっかりしている子供を預かった。
彼の部屋は、ゲームソフトやフィギュア、アダルトアニメであふれ、
壁一面に、二次元アニメのポスターが貼ってあった。
また、シューティングゲームなど暴力的なゲーム好きが高じてか、
モデルガンや模造刀の収集もしていた。
しかも、どちらも自分で改造し、殺傷能力を高めていた。
(これに関しては当然ながら、警察に提出した)
彼の場合はまだ10代だったので、
アルバイトをさせると同時に、規則正しい生活を送らせ、
ゲームやアニメのたぐいは、一切、禁止した。
本人にとってはきつかったと思う。
だけど、空いた時間にはスタッフが一緒にジョギングをしたり、
(ひきこもってゲームばかりしていたせいで、超太っていたのだ)
マンガじゃなくて、面白い小説を選んで薦めたりしたら、
それはそれで、楽しんでやるようになった。
最後は、ハーフマラソンの大会に出られるほどになったのだから、
やればできるってもんだ。
そして数年で体型も人並みになり、就職先も決めて卒塾していった。
今では、ゲームをやったりアニメを観たりもしているのだろうが
仕事を持って、自分の稼いだ金の範囲内で楽しむ分には、OKなのだ。
シャブと違って、刑法に抵触するわけではないのだし。
今の時代、親にとってみれば、「子供にゲーム機を与えない」
という選択肢をとることは、難しいのだろう。
親が買い与えなくても、中古屋に行けばいくらでも安く買える。
だからこそ、親が教えられることがあるとしたら、
「社会性を保ったうえでの遊び方」でしかない。
そのためには、子供が小さいうちから、
ゲームやアニメ以外の選択肢を与えておかねばならない。
たとえば外遊びやスポーツ、読書など、
「健全な」楽しみを体感させることが、
バランスの良さにつながるのではないかと思う。
もちろん、今回の戸塚の事件は、
ゲームが主な理由だったのかは、まだ分からないのだが、
ゲーム・アニメ関連のきわどい案件に携わってきた俺としては
このキーワードを見逃すわけにはいかないのだ。