家族の下請け

電話での問い合わせも含めて、最近の家族の意向を総合すると、

「子供(家族)の問題をどう解決していくか」ではなく

「どうやったら限りなく金を遣わずに解決できるか」

そっちのほうが、はるかに切実な問題であるようだ。

 

この価値観は、家族の問題に限ったことではないのだろう。

簡単に答えを与えてくれて、自分を楽しませてくれることには

皆、喜んで金を払うけど、

ネガティブな問題に対しては、一切金を遣いたくないのだ。

 

本当は、ネガティブな問題ほど、

命や人生を左右するような危険をはらんでいるのであって

金など惜しんでいる場合ではないのにな。

 

いつも言っていることだが、俺は民間の形態で仕事をしていて、

どこかからの援助や後ろ盾があるわけでもない。

一歩間違えれば命の危険さえある業務を請け負う以上、

対価もきっちりいただいている。

 

だから、「どうやったら限りなく金を遣わずに解決できるか」

という家族に対しての俺の答えは簡単で、

「それなら、家族がとことんまで汗をかくしかありません!」

ということに尽きる。

 

そもそも家族の問題は本来、家族で解決できるに越したことはない。

親子関係、家庭環境が崩壊しているなど、

どうしても自分たちではできない家族のために、

俺みたいな人間がいる、と思っている。

 

しかし、最近の家族ときたら、

大企業が下請けを安くつかって利益を上げるのと同じ感覚で

俺たちみたいな家族の問題に携わっている会社を、こきつかう。

 

そう考えてみると、命より金、家族より金、

そういう時代が来てしまったのかもしれない。

 

この理想と現実の間で、どう折り合いをつければいいのか……

いっそ誰もがたまげるくらい限りなく安く、

この問題を解決する方法を編み出せないか。

俺は最近、時間があるとそんなことばかり考えているのである。