メディアに伝えること
「『子供を殺してください』という親たち」を出版後、俺は、
これまで親しくしてきた記者に献本し、感想を求めた。
しかし、これという反応は、なかった。
中には、社会部の厚労省担当や、地方の行政担当の人間もいたのだが、
彼らに著書の感想を聞いても、「正直、よく分からない部分がある」
「今度、教えてください」などと言われてしまったのだ。
彼らは俺より年も若いし、経験も少ないってこともある。
が、それ以上に、精神保健分野の仕組みは、分かりにくいのである。
悲惨な事件が起きても、「精神疾患がある」と分かった時点で、
どこをどう取り上げたらよいのか分からず、自己規制を始めてしまう。
結果、現実は社会に広く知られることもなく忘れ去られ、
問題点が浮かびあがることもない。
俺は、家族や一般の人だけでなく、メディア側の人たちに対しても、
現状を伝えていく責任があるのではないかと、そんな気がしてきた。
8月31日の八重洲ブックセンターのトークイベントでは、
この問題の要点をコンパクトに伝えるつもりなので、
情報を発信するメディア側の人たちにも、ぜひ来てほしいと思う。
時間の許す限り、なんなら場所を変えて朝まででも、
徹底的に議論を交わす覚悟が、俺にはあるぜ。