「家族でやってください」=「家族で殺ってください」

先日、俺は、「ひきこもり」という名称というブログ記事で、

「ひきこもり」ではなく、もはや「たてこもり」だ、

という内容のことを書いたのだが、まさにその通りの事件が起きた。

 

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(以下引用:毎日新聞 2015年12月14日)

 

<自宅立てこもり>刃物持った男を逮捕 3人けが 神奈川

 

13日午後8時40分ごろ、神奈川県大和市林間の女性(81)が「息子が暴れていて殺されそうだ」と近くの男性宅に逃げ込んだ。男性の110番で女性宅に県警大和署員が駆け付けたところ、日本刀のような刃物を持った男が31歳と32歳の男性巡査部長に切りつけ、1人で立てこもった。巡査部長2人は首や左手の指に軽傷。女性も肋骨(ろっこつ)を折った。男に暴行を加えられたとみられる。

 

県警は家から出るよう説得したが応じなかったため、14日午前2時5分ごろ、同署員や県警機動捜査隊員らが屋内に突入。この際、男が刃物を突き付けるなどして激しく抵抗したため、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕した。男は身柄を確保される際に額に軽傷を負った。

 

大和署によると、逮捕されたのは女性の長男(54)で、約20年前から精神疾患で通院中。取り調べに対して意味不明なことを話しているという。

 

女性が「11日にも息子に暴行を加えられていた」と話しており、同署は詳しい経緯を調べている。

 

現場は小田急江ノ島線南林間駅の北約400メートルの住宅街。近くの男性(75)は「(女性の息子は)普段は非常におとなしい性格で、外ですれ違うと必ずあいさつを交わした。刃物を持って暴れるような人には見えなかった。なぜこんなことが起きたのか」と驚いた様子で話した。【太田圭介、長真一】

 

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この手のニュースを目にするたびに、深いため息がでる。

何の役割も果たせていないと、自己嫌悪に陥る。

 

今年だけで、いったいどれほどの親子・親族間殺人が起きたことか。

 

暗いニュースは止まらない。止まらないどころか、爆増の一途をたどっている!

 

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(以下引用:産経新聞 2015年12月11日)

 

「息子とケンカして」殺人未遂容疑で72歳母を逮捕 40歳男性は意識不明 東京・墨田区

 

11日午前1時40分ごろ、東京都墨田区本所の共同住宅の一室で、「息子とケンカをしていたら、息子の意識がなくなった」と119番通報があった。警視庁本所署員らが、室内で意識を失った状態で倒れている男性を発見。男性は病院に搬送されたが、重体。

 

近くにいた女が「息子が夜中に散歩に行くと言い出したので止めたら、ケンカになり、口や鼻を手でふさいだ」などと関与を認めたため、同署が殺人未遂容疑で逮捕した。

 

逮捕されたのは無職、武田福江容疑者(72)。「殺すつもりはなかった」と供述している。

 

男性は武田容疑者の長男で、2人で暮らしていた。男性は精神的な病を患っていたといい、同署が詳しい経緯を調べている。

 

 

(以下引用:テレビ朝日系(ANN) 2015年12月14日)

 

介護疲れで無理心中か…40代姉妹死亡 東京・品川

 

東京・品川区のマンションで40代の姉妹が死亡しているのが見つかり、警視庁では無理心中の可能性があるとみて調べています。

 

13日昼前、品川区東五反田のマンションの一室で、この部屋に住む斎藤文子さん(46)と妹の和子さん(43)がリビングで仰向けに倒れて死亡しているのを、マンションの住民から連絡を受けた警察官が見つけました。

 

室内には、姉の文子さんの名前で「妹に許されないことをしてしまった。一緒に父母のところにいきます」という遺書が残っていました。

 

警視庁は、発達障害がある妹を1人で介護していた姉の文子さんが無理心中を図った可能性があるとみて調べています。

 

 

(以下引用:AAB(秋田朝日放送)ニュース 2015年12月14日)

 

【速報】同居の母親死亡 息子「母親の首を絞めた」

 

大仙市の44歳の男が同居する母親の首をしめ包丁で首を刺したとして殺人未遂の疑いで逮捕されました。

 

大仙市高梨の44歳の無職の男は午前4時前自宅で同居する78歳の母親の首をしめた上、包丁で首を刺して殺害しようとした殺人未遂の疑いで逮捕されました。母親は病院に搬送されましたがおよそ1時間後に死亡が確認されました。 男は母親と二人暮らしで、警察の取り調べに対し意味不明な言動をしているということです。

 

警察は容疑を殺人に切り替えて動機など調べを進める方針です。

 

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このような事件ばかり取り上げていて、

読者の皆さんも、辟易しているかもしれない。

 

書いている俺も、感じるのは焦りばかりだ。

こういうニュースはもう取り上げずに、

もっと楽しい話題を提供しようかな、と思ったりもする。

 

だけどそれでは、既存のメディアと同じになってしまう。

 

ひきこもりや家庭内暴力で、なおかつ精神疾患(の疑い)がある問題については、

メディアの人間でさえ、こう言う。

「誰もができる解決方法(答え)がないから、取り上げられない」

「制度や仕組みが複雑すぎて、よく分からない」

 

だから、これだけ家族間の殺人が起きているのに、

深く掘り下げようとしない。

 

12月6日の朝日新聞「売れてる本」の書評で、

武田さんが以下のように書いてくれたが、まさにその通りだ。

 

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(以下引用:ブック・アサヒ・コム)

 

メディアは「精神的な病」だと分かった途端に腫れ物扱いし、事実を掘り下げぬまま、「厄介な案件」として処理してしまう。

(中略)

世間が「自分には関係ない」と追いやる度、家族への負荷が強まる。抜け道をふさいでいるのは我々の無関心だ。

 

http://book.asahi.com/reviews/column/2015120600001.html

 

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本質が見えないままだから、一般の方々の意見も、

「そういう問題のある家庭の親や子供は、殺されてもしょうがないよね」

という短絡的な方向に、どんどん向かっていっているように感じる。

 

行政も福祉も医療機関も、「家族でやってください」というが、

それはもはや、「家族で殺ってください」になりつつあるのだ。

 

これが本当に、近代的な、法治国家のやることか?

絶対に違うだろう! と思うから、俺は今後もしぶとく声をあげていく。

とりいそぎ今は、著書の続編を執筆中だ。

 

これ以上、精神疾患を要因の一つとする親殺し子殺しを、日常化させてはいけない。

「いつものことか」と、普通のこととして、扱わせるわけにはいかないのだ!