長女の首絞めて殺害した疑い 父「暴力ひどかった」
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(以下引用:朝日新聞デジタル 4月12日)
長女の首絞めて殺害した疑い 父「暴力ひどかった」
娘の首を絞めて殺害したとして、和歌山県警は12日、和歌山市太田4丁目、会社員向井英治容疑者(67)を殺人容疑で緊急逮捕し、発表した。向井容疑者は「日頃から娘の暴力がひどかった」などと話し、容疑を認めているという。
和歌山東署によると、向井容疑者は12日午前2時半ごろ、同市西の駐車場にとめた車内で、無職の長女(39)の首を白いロープ(長さ約165センチ、直径約5ミリ)で絞めて殺害した疑いがある。
現場は向井容疑者宅から南東約3キロで、長女が1人で暮らしているアパートの近く。向井容疑者の妻が「夫が娘を自宅に送りにいったまま帰らない」と交番に通報した。警察官が駆けつけたところ、アパートの室内の階段付近に長女が横たわってすでに死亡しており、中にいた向井容疑者が「娘を殺した」と話したという。
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このブログの読者の方であれば、おそらく「またか……」
という思いで、このニュースを見たのではないだろうか。
俺は「和歌山市」という地名を見て、ある事件を思い出した。
2015年2月14日に、和歌山市内の自宅で父親(当時81)が、
精神障害のあった長女(当時41)を、電気コードで絞殺した事件である。
この事件については、以前、ブログ(「子供を殺す」という方法があってはならない)
でも触れているのだが、加害者の父親は、裁判員裁判の結果、
懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役6年)という判決を受けている。
この二つの事件は、父親の年齢こそ違えど、
双方とも被害者は娘で、年齢も近い。
家族が本人からの暴力に悩んでいたことも同じだ。
コードやロープを使っての絞殺と、殺害方法も一緒で、
正当防衛などのやむを得ない殺人ではない。
そして、俺がもっとも気になったのは、両家の自宅が、
直線距離にして約4キロしか離れていないことである。
4キロ程度の距離であれば、大きな事件が起きれば、
それにまつわる噂を聞く機会もあるだろう。
これはあくまでも俺の推測だが、
今回の事件の容疑者である父親は、前回の事件のことをよく知り、
計画性を持って、犯行に及んだのではないか。
長年にわたる本人の暴力や精神疾患の症状、家族対応の経緯などによっては、
今は「子供を殺す」という重大な犯罪であっても、執行猶予ですんでしまう。
そして社会の空気も、どちらかといえば、加害者側の家族に同情的だ。
それらを理解した上で、犯行に及んだような気がしてならない。
ちなみに前回の事件の父親は、事件から一年も経たないうちに、
当事者の立場として、講演も行っている。
我が子を自分の手で死に至らしめても、実刑を受けることもなく、
堂々と人前に出て、講演が出来てしまう時代だ。
これは、「罪を犯した人間は、一生閉じこもって生活しろ」
などということが言いたいのではない。
加害者側の家族だって、苦しんできたことはよく分かる。
だが、このような事件が右肩上がりに増加しても、
専門家や専門機関から、なんら具体的な対策の提案があるわけでもなく、
社会の風潮も「暴力があったなら、仕方ないよね」で済まされる。
このままいくと、「子殺し」や「親殺し」、はては「きょうだい殺し」までが、
スタンダードな解決策になってしまう。
俺はそれを、最大限に危惧しているのだ。
いつも言っていることだが、初動介入のスペシャリスト集団の設立、
そして、暴力や暴言を伴うなど対応困難・難治性の対象者を受け入れられる
精神科病院の仕組みをつくること。
また、症状が重度かつ慢性化した患者に関しては、
長期的な治療を受けられるようにするなど、
早急にシステムを変えていく必要がある。
ブログにはまだ書けないこともあり、なかなか良い報告が出来ないが、
上記のことを達成できるよう、俺なりに地道にコマを進めている。
世の中の「心の専門家」を名乗る方々にも、ぜひ本気で積極的に、
こういった問題に対する「具体的な解決策」を考えていただきたい。