腹を出す
来週は、また一つ難しい業務が待っている。
対象者は、過去にかなり凄惨な家庭内暴力を行っており、
自室に刃物や凶器も所持している。
しかし、何年も家の中に「たてこもり」状態のため、
事前に得られる情報に限界があり、
実際に踏み込むまで、分からないことが多すぎる。
もちろん、あらゆる危機管理をして望むが、
俺の場合は完全に丸腰、まさか防弾チョッキを着るわけにもいかない。
そんな俺の編みだした方策は、「腹回りに脂肪をつける」。
実は俺、もともとは食も細く、身体も細かった。
だけど、この仕事を始めてからは、
「万が一刺されても、脂肪があったら多少は内蔵を守れる(はず)」
と思い、無理してメシをたくさん食べて、身体を大きくしたのだ。
最近は年をとったせいでまた食が細くなり、
腹回りもだいぶ痩せてしまっていた。
しかし次の案件だけは、危険度が高いことこの上ないので、
腹回りを戻そうと、この数週間はメシを食いまくった。
炭水化物をメインに一日四食~五食、食べることに忙しく、
ついついブログからも遠ざかってしまった。
おかげで腹回りはかなり戻ってきた。
「気休めだ」と笑われるかもしれないが、
あるのとないのじゃ、気分が違う。
覚悟を決めることを、腹を括る、腹を据える、なんて言うけど
俺の場合は「腹を出す」。これなんだな!
本音を言えよって意味で、腹を出せ、なんて言うこともあるし、
これはまさに、説得の極意だ!