警察官の手の指かみちぎった疑い、男を逮捕

ここのところ、次に出す本の原稿に集中していたので、

ブログがすっかりおろそかになってしまった。

 

コメント返信もできておりませんが、ご容赦ください。

 

--------------------

(以下引用: TBS系(JNN)2016年 5月26日)

 

福岡県水巻町で25日、酒に酔って暴れていた男が、駆けつけた警察官の手の指をかみちぎったとして逮捕されました。

 

25日午前、福岡県水巻町の町営住宅の一室で、「酔っ払いが暴れている」と警察に通報がありました。

暴れていたのは部屋の住人の親戚にあたる41歳の男で、取り押さえようとした警察官にかみついたということです。

 

かまれた警察官は、右手親指の爪の付け根あたりまで切断する重傷です。

 

警察は、その場で男を逮捕しましたが、軽度の知的障害があることから匿名で発表しています。

 

親族によりますと、男は過去にも度々酒を飲んで暴れ、トラブルを起こしていたということです。

事件の前日にも、男が酔っ払って近くのショッピングセンターの窓ガラスを割る様子を、親族が目撃していたということで す。

 

取調べに対し男は、「かみついたと思います」と容疑を認めているということですが、警察が責任能力の有無を含め、慎重に捜査しています。

 

--------------------

 

さて、前回のコメント欄で、

小学校の隣に精神科病院が建設される是非について、

意見交換が活発になっていた。

 

しかし、俺からすると、今や、

難治性だったり、粗暴だったり、あるいは本人に治療の意思がないなど、

いわゆる対応困難な患者を受け入れる民間の精神科病院は少ない。

 

病院側は、他害行為や迷惑行為を行う可能性の低い患者を

好んで受け入れているのだ。

 

言い換えれば、精神科病院に通院している患者の多くは

本人に治療の意思があるからこそ通っているのであり、

そういう方々を、過剰に危険視するのはいかがなものか。

 

それに対して、ブログや著書でも書いてきたとおり、

「治療の必要がありながら、医療にかかることのできていない」

患者は、増える一方なのである。

 

オフレコではあるが、

「危険な症状の患者が、地域にあふれるようになった」

と話す精神科医さえいる。

 

今回、引用したニュースも、まさにそれを象徴している。

 

逮捕された男性は、「軽度の知的障害がある」と報道されているが、

過去にも度々酒を飲んで暴れていることから、

アルコール依存症の可能性もあるのではないか。

 

地元の記者にも話を聞いてみたのだが、実際のところ、

行政や福祉の担当者も介在はしていたが、

本人に治療の意思がないことと、その暴力的な側面もあり、

継続して適切な医療にかかることはできていなかった。

 

トラブルを起こす可能性は予見されていたが、

結局、事件化するまで、具体的な対応はなされていなかったのだ。

 

ちなみに駆けつけた警察官は、防御用の手袋をしていたそうだ。

それでも、指を噛みちぎられた。

 

「危険な現場に行くことが仕事だろう」と言われればそれまでだが、

本来であれば、行政や医療など関係機関が協力することで防げたはずの案件で、

将来を左右するほどの大怪我を負った、この警察官のことを思うと、

同情ではすまない、憤りに似た思いが湧いてくる。

 

しかし、ニュースになっていない物も含めれば、

今やこういった現場の多くで、警察官が矢面に立たされている。

それはつまり、地域で事件化している案件が、

それだけ増えているということでもある。

 

そしてその事実こそ、「対応困難な患者は受け入れない」

という精神科病院の姿勢を、証明していると思う。

 

このような、地域で起きている現実は、「対岸の火事」と思い込み、

自分の身近に精神科病院ができるとなったら、慌てふためく。

 

ならば、反対運動をして、その精神科病院が建設を断念したら、

そこに通う小学生たちに、「これでこの街は安心だよ」と言えるのか。

厄介なものを、ただ目の前から排除したに過ぎないのではないか。

 

病院の建設に賛成するか反対するか、それはもちろん各人の自由だ。

精神障害者は皆、危険で、閉じ込めておくべきだなどと言うつもりもない。

 

だが、議論をするならば、地域全体の問題として視野を広げ、

現実を見たうえで、考えて欲しいと思う。