ブサイク・アホは、素敵に丸出し!

 

この間、大学時代の後輩と、久しぶりに会った。

 

そいつは俺と同じアホちゃんだが、性格は素朴で真面目な奴で、

俺とは違って大学をきちんと卒業し、一部上場の優良企業に就職もした。

そして、もう何年も前になるが、会社を辞めて大学院に入り直して、

MBAの資格をとったのである。

 

そいつが大学院に通っている間は、俺も

「おー、頑張ってるな!」と、感心しながら眺めていた。

 

しかしMBAの資格をとったあたりから、

なんだかものすごい理屈っぽいことばかり言うようになり、

自分の得意分野の話になると、しゃべり出して止まらない……

みたいな感じになっていった。

 

その話が、そいつのオリジナルのアイデアで、

ビジネスとして世の中に出せるようなものであれば

俺も「すげーな」と思って話を聞いたと思う。

 

だけど俺には、そいつが教科書だか専門書だかに書いてあることを

右から左で話しているようにしか、聞こえなかった。

 

まあ、つまり「全然面白くなかった!」のである。

 

だけど、見てくれや話し方だけは、

どんどん“専門家”っぽく、えらそーになっていく。

 

あるとき、俺はさすがにちょっくら頭にきて、

そいつの部屋にあったアイアンを片手に言ってやった。

 

「いいか!? 俺もお前も、所詮は根っからのアホなんやぞ。

それなのにえらそーな面して、あんまり調子こいてペラペラやってると、

そのうち痛い目に遭うぞ!」

 

そいつはそのとき、「えー!?」という、とぼけた反応だった。

 

しかしそれから一年も経たないうちに、案の定、痛い目どころか、

命まで狙われるようなトラブルに足を突っ込んでしまったのである。

 

しかも、本人はまったく気が付いていなかった。

俺のほうが先に緊急事態を察知し、そこから足を洗えと、そいつを説得した。

最後は這々の体で逃げ出すことになった。

 

その後は、身の丈にあった仕事……俺流にいうと「現場ちゃん」の仕事に就いて、

一生懸命、頑張っていると聞いていた。

 

で、今回、久しぶりに会ったら、

すごく健康的な、いい面構えになってたんだな!

 

「押川先輩は、命の恩人です」とも言っていた。

俺は嬉しかったね。

 

恩人と言われたことが嬉しかったのではなく、そいつが、

自分の「命」の重さと、自分が「アホ」であること、

それをちゃんと思い出したことが、嬉しかったんだ。

 

今やっている仕事の話を聞いていたら、俺もいろんなアイデアが沸いてきて、

「お互い頑張って、何年か後には、新しいことをやろうぜ!」

という、未来の話までできた。

 

長くなったが、何が言いたかったかというと、

そいつが差し出した今の仕事の名刺に、しなびた観光地にあるような、

イラストにはめ込んだ、そいつの顔写真が使われていたんだよ。

 

思わず俺は「採用!」と叫んだ。

ほんと、ちょっとイイ感じにダサいっていうか、

ぼうっとした見た目と、昔から持っていたそいつのアホな部分の素敵さが

ぴったり一致している感じが、すごくいいと思ったね。

実際、仕事でも好結果を出してるって言うじゃないか。

 

だから俺も、その最高のアイデアをパクらせていただき、

ブログのヘッダーを昨日、さっそく変えた!

 

一段と成長した後輩に、今度は俺が大感謝だ!

俺も心機一転、ますます現場ちゃんモードで頑張るぜ!!