植松容疑者と同じじゃねーか!!

(以下引用:産経新聞8月15日)

「将来を悲観し…」49歳息子を刺殺容疑 72歳母逮捕 大阪府警羽曳野署

大阪府羽曳野市の民家で15日未明、住人の男性が刃物でのどを刺されて死亡した事件で、大阪府警羽曳野署は15日、殺人容疑で男性の母親で不動産賃貸業、若本敏美容疑者(72)=同市高鷲=を逮捕した。「(息子に)精神疾患があり、将来を悲観した」と容疑を認めているという。

逮捕容疑は15日午前2時ごろ、自宅1階の洋間で寝ていた息子の無職、佳秀さん(49)ののどをナイフのような刃物で突き刺し、殺害したとしている。

同署によると、若本容疑者は佳秀さんや娘らと4人暮らし。同日午前3時ごろ、2階で寝ていた娘を起こして殺害を打ち明け、娘とともに同署へ出頭していた。

 

精神疾患を患い、家族では対応が難しくなった子供を、親が殺す。

過去に起きた同様の事件は、このブログでもたびたび取り上げてきた。

 

最近は、ネット上のニュース記事に寄せられるコメントを見ても、

「自業自得」「しょうがない」「親もかわいそう」という意見が多く、

このままでは、「親が子供を殺す」という解決方法が、

スタンダードになってしまうのではないか……そんな危惧を抱いている。

 

なお、これも何度も取り上げてきたことだが、

ここ最近の事件では、加害者である親に、

執行猶予(もしくは法定刑以下)の判決が下されていることが多い。

 

「親も苦しんだはず」という同情はいったん横に置き、この判決を眺めてみると、

やはり、どうしても受け入れがたい気持ちがわく。

 

子供が、家族を苦しめる対応困難な精神障害者であれば、親が殺すのもやむなし。

司法がそう判断しているようにしか、思えないからだ。

 

重複障害者への偏見・差別的な発言を繰り返した植松容疑者の考え方と、

本質は変わらないようにさえ、思う。

 

そして、もっと不思議でしょうがないのは、

こういった事件が頻発していること、このような判決が下されていることに対して、

なぜ、人権派を語る精神保健の専門家や、弁護士は、口をつぐんでいるのだ?

 

家族では面倒をみきれない患者を、精神科病院で長期にわたり受け入れることに対しては、

「人権侵害だ!」と、やかましいほど批判の声があがるのに、

そのような患者(子供)を親が殺すこと、殺しても執行猶予の判決で許されることに対しては、

だんまりを決め込む。

 

これって、どう考えてもおかしくないか?

 

子供を殺さざるをえないほど、追いつめられる親がいて、

現行の仕組みや制度では、そのような危機的状況にある家族を助けられない。

さらには司法の下す判決も、そのような精神障害者(子供)の人権を、

ないがしろにしている。

 

この事態に対して、脱施設化・地域移行、アウトリーチを提唱する精神保健の専門家や、

人権派弁護士たち、また、精神障害者家族会など関連団体こそ、

まっ先に改善を求める声明を出すべきではないかと、俺は思うのだが。

 

もし、患者の病状や、家庭環境(親子関係)などを理由に

「自分たちとは関係ない」と無視を決め込んでいるのだとしたら、

それこそたいへんな、区別・差別である。

 

たとえ対応困難な精神障害を抱える患者であっても、

命ある限り、生きる権利はある!!

 

奇しくも少し前のブログのコメントで、アルコール依存症で入院歴のある方が、

「家族や周りからの偏見」について書いてくれたが、

まさにそうだ! と膝を打った。

 

実は、もっとも身近にいる家族や、精神保健の専門家、人権派をきどる弁護士などこそが、

精神障害者を自分たちの都合で区別・差別し、偏見に基づいた対応をとる。

そういう矛盾が、世の中には思いの他、あふれている。

 

最近は、どうもそのように思えてならない。

このことについては、次のブログでも引き続き書く。