真実を知る

漫画『「子供を殺してください」という親たち』だが、コミックバンチwebのコメント欄に、ときどき「怖い」という感想が書き込まれている。

 

それを読んで考えたのだが、「真実」とは本来、「恐怖をおぼえる」ものなのではないだろうか。逆に言えば、知ることで「恐怖をおぼえる」ようなことこそが、本当の「真実」と言える。

 

今は情報が山盛りにあふれていて、簡単に何でも知っている気になれるけれど、その大半が、発信者の都合のよいようにスポイルされている。それはメンタルヘルス業界を見ていても明らかで、著名な専門家ほど、言っていることは「きれいごと」ばかりだ。

 

なぜなら、本当のことを言っちゃうと、言い出しっぺである自分こそが、難易度や危険度の高いことに挑戦せざるを得なくなるからである。だから著名になればなるほど、本当のことなど言わないし、現場の真実を見ようともしなくなる。

 

だが人間、「怖いな、やばいな」と思うからこそ、「何とかしなくては」と脳みそにエンジンがかかる。「頑張ろう」とも思う。少なくとも俺が知っている能力の高い人たちは、すでにある地位や金に安穏とせず、常に真実を希求し、その恐れに真正面から立ち向かっている。

 

そして、そのような「真実」ほど、容易には手に入らない。だから学も資格もない俺は、命がけで現場に出て、その対価として「真実」を見せてもらってきた。そういう意味では、あの漫画に対する「怖い」という感想は、最大の賛辞かもしれない。

 

願わくば「怖い」を「怖い」で終わらせずに、我がこととして考えて欲しい。これだけ親族間の事件が多発する今、もう「他人事」とは言っていられないのだ。恐れを抱き、「我がこと」として考える。その準備が、いざというときのヒューマンな対応につながるはずだ。